ネパール・中国国境の土石流、「気候変動が一因の可能性」と科学者ら ネパールは国連基金に支援要請へ

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ネパールと中国・チベットの国境沿いの地域で先月末に発生した大規模な土石流について、国際的な科学者グループが17日、気候変動との関連性を示す新しい分析結果を発表した。ネパールはこれを、気候変動によって土石流が引き起こされたことを証明する証拠として、国連基金に支援を要請する方針。
ネパールは、気候変動の影響を受けた国を支援する国連の「損失と損害に対応する基金」に対し、約2000万ドル(約30億円)の支援を要請する意向だと、BBCの取材で分かっている。
公式統計によると、先月末の土石流によるネパール側の死者数は、16日時点で約1400人、行方不明者は6150人となっている。
気候科学者団体ワールド・ウェザー・アトリビューション(WWA)が17日に発表した新しい分析結果は、ネパールと中国・チベットの国境地域で壊滅的な土石流を引き起こした岩と氷河の崩落について、気候変動が一因となった可能性が高いと指摘している。
この研究の共著者で、イギリスのインペリアル・コレッジ・ロンドンの気象学者フリーデリケ・オットー博士は、「人為的な気候変動が、今回の災害を引き起こしやすい条件を形成するうえで一定の役割を果たしたことに、疑いの余地はまったくない」と述べた。
大規模な土石流はネパールと中国・チベットの国境沿いにある町や村を襲った。数千棟の家屋が流失し、エネルギーインフラが破壊され、数千人の死者・行方不明者が出た。
科学者によると、ヒマラヤ山脈のネパール側にあるランタン・リルン山の山頂付近で、岩壁と氷河が崩壊したことで土石流が発生した。
今回の災害は、気温上昇や氷河の縮小、永久凍土の融解、既存の地質的ぜい弱性が重なった「複合的な事象」の結果だという。
この最新研究によると、土石流が発生した地域の7月と8月の気温は、「人間活動が気候に与えた影響」のため約1.5度高かった。
また、同地域の氷河は年間約50センチのペースで薄くなっていた。これにより、すでに亀裂が入っていた部分がぜい弱になり、不安定さが増した可能性があるという。
昨年10月と11月の大雪も、今年初めに発生した大量の雪解け水の一因となった。
最新研究は気候変動について、今回の災害の単一の要因ではないものの、「既存の地質学的ぜい弱性に作用する不安定要因」になったと指摘した。
土石流被害を受け、ネパールの指導者たちは、約50億ドル(約7800億円)の復興資金が必要だと訴えている。
昨年に運用が始まった国連の「損失と損害に対応する基金」は、申請国に対し、自国が受けた被害が気候変動で引き起こされたことを証明する証拠の提出を義務づけている。
ネパール当局はすでに、同基金に申請する根拠を裏付けるため、衛星画像やドローン画像、予備報告書の準備を進めていた。
ネパールは、ランタン・リルン山で起きた岩と氷河の崩壊に、気候変動が大きく影響したと主張している。現時点で、その証拠を裏付ける最も有力な証拠はWWAが17日に公表した報告書だと、当局はみている。
ネパール農業・森林・環境省のマヘシュワル・ダカル報道官は、「この報告書は、今回の災害で気候がどのような役割を果たしたのかを詳細に記しており、我々の主張の主な根拠となるだろう」と述べた。
ネパール当局は、自国は温室効果ガスの排出量が最も少ない国の一つでありながら、地球温暖化の影響を最も受けやすい国の一つでもあるとして、気候変動に対処するための国際的な取り組みを求めている。
同国のバレンドラ・シャハ首相は、就任後初の外遊として来週、米ニューヨークでの国連総会に出席する予定。最近の災害や気候正義について演説するとみられる。
ブルームバーグNEFで気候変動適応を専門とするダニヤ・リウ氏は、「ネパールは、切実に必要な復興資金について、『補償』という言葉を繰り返し使ってきた」と指摘した。
「この表現の違いは、被害を受けた国が費用の大半を負担し、不足分を援助で補う仕組みではなく、汚染者負担の原則に基づく仕組みを求めていることを示している」
ただ、土石流被害を受けた国境地帯の復興に緊急に必要な資金をネパールが確保できるのか、また、どれほど迅速に確保できるかは不透明なままだ。
国連の「損失と損害に対応する基金」には、すでに約120カ国が申請しており、請求総額30億ドル(約4700億円)近くに上る。
しかし、各国の支払いに充てるために同基金が確保している資金は4億ドル(約620億円)弱だと報じられている。
ネパール当局によると、同国への資金拠出を迅速に行うことについて一部の国からは幅広い支持を得ているが、ほかの国々は、規則や手続きに従う必要があると強調している。
国連基金の担当者らは12月に会合を開き、どの申請を承認するのか決定する予定。その際に、ネパールについて緊急の判断を下すかどうかも検討される見通し。
WWAの研究によると、2015年にネパールを襲ったマグニチュード7.8の地震と、それに伴って発生した岩と氷の崩落も、岩盤を弱体化させた可能性があるという。ただし、その地震が今回の災害に与えた具体的な影響は確認できなかったとしている。
WWAの研究結果は、査読付きの学術誌には掲載されていない。WWAのウェブサイトによると、同団体による異常気象の分析はいずれも、査読を受けた研究手法を採用しているという。
今回の研究結果は、発災直後にほかの専門家たちが示していた見方を補強するものだ。
一部の専門家はこれまで、ヒマラヤ山脈での気温上昇が岩と氷の崩落を引き起こした要因の一つである可能性が高いとBBCに話していた。
イギリスのダンディー大学で氷河を研究するサイモン・クック博士は先月、個別の事象を気候変動に結び付けることは難しいとしながらも、「温暖化は、最終的にはこうした高山地域の環境を不安定にさせる」とBBCに述べた。
クック博士はさらに17日にBBCに対し、WWAの報告書について、今回の災害の根本原因を分析した「非常に価値のある研究」だと評価した。
また、報告書が「気候変動が重要な要因だったことを示す有力な証拠」を提示しているとしつつ、「どのような過程で(災害が)発生したのかを正確に説明できる段階にはまだ至っていない」と述べた。
「(災害発生に)関係する過程についてや、(中略)将来こうした事態を早期に警告するためにどのように高山地域を監視できるのかについて、学ぶべきことはまだたくさんある」















