【解説】カナダのEU「準加盟」、温かな言葉はあったが確約はなく

演壇に立って話すカーニー氏を横から撮影した写真。背後には議席に座る議員や、欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長がぼやけて写っている

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画像説明, カナダのカーニー首相は欧州議会で演説した(17日、ストラスブール)
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カティヤ・アドラー欧州編集長

カナダは欧州連合(EU)に加盟しようとしているのか? ヨーロッパ各地でいま飛び交っているニュースの見出しからは、大いに混乱している様子がうかがえる。

EU憲法は、カナダが地理的にヨーロッパ圏外にあるため、その可能性を排除している。

しかし、カナダのマーク・カーニー首相は17日、欧州議会で演説した際に「カナダと欧州は、あらゆる戦略的能力における緊密な協力を通じて、戦略的自律性を確保すべきだ」と述べた。

この前日、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、カナダをEU初の「準加盟国」にする計画を支持した。カーニー氏は演説の中で、この招待に非常に好意的な反応を示した。

EUとカナダは既に、包括的経済貿易協定(CETA)を締結している。カーニー氏はこれに加えて、エネルギーと経済安全保障、重要資源と原材料、教育、技術と人工知能(AI)のイノベーション、防衛といった分野でこれまで以上に協力することが、関係するすべての国の安全を守るのに役立つと主張した。

カナダとEUは、片や超大国アメリカ、片や中国、さらには超国家的な活動を展開している様子の巨大テクノロジー企業から、ますます圧迫されていると感じている。

カーニー氏は、EUの準加盟国という構想は、第三の超大国を形成したり、他国に対抗する陣営を作ったりすることを目的としたものではないと強調した。

「我々はゼロサムゲーム的な取引は追求しない」ともカーニー氏は述べた。ゼロサムゲームとは、「参加者の得失の総和がゼロになるゲーム」という意味で、相手の損が自分の利益に、相手の得は自分の損になるという発想。

カーニー氏は、このゼロサムゲームを追求するのではなく、ますます混乱を極める世界において、一部の人々の間では力こそ正義とみなされている現状を踏まえ、志を同じくする国々が協力し、新たな多国間グローバルガバナンスを構築するべきだと提言した。

カーニー氏は、各国が協力し、孤立主義を避けることによってのみ、重要な能力のギャップを埋め、力を蓄え、国家主権を確保できるという考えを示した。

これは、欧州各国で間もなく行われる選挙と、大陸でますます影響力を増しているナショナリストの政治家たちへの言及だったのかもしれない。

ナショナリスト政党のスローガンは、「イタリア第一主義」だろうと、「フランスはフランス人のもの」だろうと、「ポーランドを再び偉大に」だろうと、ドナルド・トランプ米大統領の「アメリカを再び偉大に(MAGA)」という呼びかけを反映している。

カーニー氏の言葉は前向きで、温かかった。欧州議会での拍手は熱狂的で、心からのものだったようだ。

しかし、大西洋の向こう側では事情が異なる。トランプ氏は16日、カナダのEU準加盟案を一蹴し、合意が実現すれば「非常に重い関税」を課すと脅迫。これを「敵対行為」とみなす可能性もあると警告した。

しかし、このEUとカナダの親密な関係は、トランプ氏が意図せずして仲介役を果たしたといえる。

伝統的に、アメリカはカナダとEUにとって最大の貿易相手国で、第一の防衛同盟国でもある。

しかしカナダは現在、アメリカとの激化する貿易「戦争」に巻き込まれている。カナダとEUは共に、トランプ政権が関税を武器として利用しているとして憤慨している。

さらには、安全保障と防衛でも、もはやアメリカに全面的に頼ることはできないのではないかと懸念している。

アメリカがパートナーとしては予測不可能な相手になりつつあることを懸念し、EUとの関係強化を図ろうとしている遠方の同盟国は、カナダだけではない。日本と韓国も、EUの傘の下に身を寄せることに関心を示している。

EUも最近、インド、インドネシア、日本などとの貿易協定を迅速に締結し、意図的に関係の多様化を図っている。

しかし、カナダのEU準加盟が実現するかは全く保証されていない。ましてや、EUへの正式加盟には至らないものの、より緊密な関係を望むイギリスのような国にとっての青写真となるかは、なおさら不透明だ。

いかなる合意も、EU加盟27カ国すべての承認を得なければならない。

こうした事態には法的先例がない。交渉は長期化するかもしれない。そして、たとえば鉄鋼関税をめぐる潜在的な利益相反が生じる可能性がある。

ドイツは今年5月、素早いEU正式加盟を強く望むウクライナを準加盟国とするよう提案したが、加盟国はこれを拒否した。

フランスをはじめとする一部の国は、非加盟国が自国にとって「あまりにも有利」な協定を結ぶことを避けたいと考えている。こうした国々は、国内外の欧州懐疑派が有権者を扇動し、EU離脱を求める声が上がることを懸念している。

結局のところ、「準加盟国」というのは単なる肩書きに過ぎない。中国、アメリカ、ロシアからの逆風にさらされるなか、普段はルール厳守のEUも、EUに寄り添いたいと願う国々を受け入れるために、より柔軟な姿勢を示すよう、深刻な圧力を受けている。