米国とイラン、14項目の合意文書に署名 何が書かれているのか

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バーンド・デブスマン・ジュニア米ホワイトハウス担当記者
米ホワイトハウス関係者は17日、同国とイランの停戦延長の合意が署名され、発効したとBBCに明らかにした。
ドナルド・トランプ米大統領は、仏エヴィアン=レ=バンで開かれた主要7カ国首脳会議(G7サミット)に出席中に、合意に正式署名した。この合意で、海運の要衝ホルムズ海峡が再開されることが見込まれている。
「了解覚書(MOU)」として知られる14項目の合意は、イランが将来、決して核兵器を保有しないと明記している。また、イランの「復興と経済開発」のために3000億ドル(約48兆円)の資金を確保するとしている。アメリカの拠出は義務づけていない。合意は、イランと、アメリカおよびイスラエルとの間の紛争が勃発してから4カ月後に成立した。
トランプ政権はこの合意を「成果連動型」だと説明し、イランは約束を履行した場合のみ恩恵を受けるとしている。
合意の文言には多くの疑問点があり、さまざまな重要課題も未解決のままとなっている。以下、主な内容を紹介する。
項目1:「すべての戦線での」紛争の終結
合意の最初の項目では、アメリカ、イラン、および同盟関係の国々が、「すべての戦線」での軍事作戦の「即時かつ恒久的な」終結を宣言すると記されている。これにはレバノンでの戦闘も含む。
トランプ氏は、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラに対するイスラエルの軍事作戦が、アメリカとイランの合意を台無しにしかねないことへの懸念を強めていた。
一方、イランは、停戦にレバノンも含めるよう繰り返し主張してきた。
イラン外務省の報道官は17日、レバノンでイスラエルの軍事作戦が継続されれば「了解の違反」となり、「必要な措置が取られる」と述べた。
合意は、双方が「今後」、軍事作戦を開始したり、威嚇(いかく)し合ったりせず、レバノンの「領土保全と主権」を確保すると明記している。
また、最終合意が紛争の恒久的な「終結」につながるとしている。
イスラエルがこの点にどう反応するかは明らかではない。
項目2:「内政」の尊重
今回の文書の内容は、米当局者が記者団との電話で逐語的に読み上げた。そこには、アメリカとイランが「互いの主権と領土保全を尊重」し、互いの内政に干渉しないと明記されている。
これは、イランの反体制派グループから否定的に受け止められる可能性が高い。
イランでは昨年末から今年初めにかけ、各都市で反政府デモが相次いだ。その際、トランプ氏は抗議デモ参加者らに対し、「支援は間もなく届く」と約束していた。
項目3:延長可能な60日間の期限
項目の3番目は、アメリカとイランが「最大」60日以内に最終合意に向けて交渉し、合意に達することを約束するとしている。ただ、双方の合意があればこの期限は延長可能としている。
この60日間のカウントダウンは、両国の首脳がMOUに正式に署名したことを受け、すでに始まっている。
ホワイトハウスがBBCに説明したところでは、トランプ氏は17日夜、仏ヴェルサイユ宮殿で開催されたG7サミット後の夕食会で、文書に署名した。イランのマスード・ペゼシュキアン大統領も別途、署名したという。
これに先立ち、トランプ氏とイラン当局の両方が、今週後半にスイス・ジュネーヴで正式な署名式があると示唆していた。現時点でもまだその予定なのかは不明だ。
項目4:アメリカが封鎖を解除
項目の4番目では、MOUが署名され次第、アメリカはイランの港湾に対して実施してきた海上封鎖と「あらゆる妨害や障害」の解除を開始するとされている。
合意やイラン外務省によると、封鎖は30日以内に完全解除される。この期間中、アメリカがイランの港湾への出入りを許可する船舶の数は、イランがホルムズ海峡で回復させる船舶の往来量に比例する。
アメリカはまた、最終合意への署名から30日以内に、「イラン近隣」から米軍を撤収させると約束している。
これは実際には、米軍が戦闘行為を始めた2月28日より前の態勢と戦力に戻ることを意味する。
項目5:ホルムズ海峡
合意の一部は、了解覚書への署名を受け、イランがホルムズ海峡を通る商船の安全な航行を「最善の努力を尽くして手配する」と明記している。また、通行料は取らないとしている。
これは、戦争が始まってホルムズ海峡が封鎖され、原油価格が世界的に急騰して以来、アメリカが掲げてきた重要な目標だ。
合意文書は、船舶の通行が「直ちに」開始されるとしている。同時に、技術的・軍事的な「障害」の除去や機雷除去作業の必要性を考慮するとしている。
米当局者らは先に、ホルムズ海峡を通過する船舶に料金が課されることはないと、記者団に繰り返し強調していた。
文書では、長期的にはイランがオマーンをはじめとする湾岸諸国と協力し、ホルムズ海峡の管理方法に関して「より広範な」合意を策定する予定だとされている。
アメリカは、イランが自らの権利を「積極的に」主張してくるとみている。だが、通行料制度が導入される未来を湾岸諸国が受け入れることは「決して」ないだろうと、当局者は述べた。
項目6:イラン復興の資金
項目の6番目では、アメリカと湾岸地域のパートナー諸国が、イランの復興と経済開発のために、少なくとも3000億ドル(約48兆円)規模の「最終的な、相互に合意された計画」を策定するとされている。
最終的な仕組みは最終合意から60日以内に合意され、すべてのライセンス、免除、許可はアメリカが付与する。
しかし、アメリカが資金面で関与することを意味してはいない。
当局者は、アメリカがイランに「1セントたりとも」支払う必要はなく、資金拠出も求められていないと説明した。
この当局者は、仮定の話として、イランが「おとなしく」していれば、アラブ首長国連邦(UAE)当局がアメリカの承認を得て、イランに発電所を建設することも可能だと述べた。
トランプ氏や当局者らは、アメリカがイランに直接支払うことはないと、米国民に明確に伝えようと多大な努力をしている。トランプ政権は、この点が2015年にイランと当時のバラク・オバマ米政権との間で結ばれた核合意と大きく違うとしている。
項目7:制裁の終了
アメリカは、イランに対するすべての経済制裁を終了させる。アメリカが単独で発動した制裁に加え、国連安全保障理事会の決議に含まれるものも解除する。
しかし、その時期は不明だ。
文書では、この日程が最終合意の一部として合意されるとしつつも、双方が「直ちに」その後の交渉においてこの問題に取り組む意向だとされている。
イランは制裁によって深刻な打撃を受けている。アメリカが進めている「エコノミック・フューリー(経済の怒り)作戦」は、イランを世界の金融システムから切り離すことを狙ってきた。
項目8:核兵器を保有しない
イランは核兵器を取得または購入しないことに合意した。双方は、イランがすでに保有している濃縮ウランへの対応についても合意している。
だが、その管理方法は不明確だ。文書は、その仕組みが今後の協議で「相互に合意される」としている。また少なくとも、国際原子力機関(IAEA)の監督の下、現地で「希釈される」としている。
米政府の高官は、これは「最低基準」であり、アメリカにとっての「大きな勝利」だと説明した。
トランプ氏は、今年2月に始めた「エピック・フューリー(壮絶な怒り)作戦」で自身が求めていたことの「99%」は、イランが核兵器を保有するのを防ぐことだと述べている。
アメリカは今回の合意を、履行に基づくものだと説明している。そのため、項目7で示された制裁緩和は、イランが項目8を順守することと連動している。
項目9と10:「現状維持」
合意の次の2項は、濃縮ウランへの対応が可能になるまでの間、アメリカとイランが核計画の「現状維持」で合意することを定めている。
これは実際には、アメリカが新たな制裁を課さないことを意味する。アメリカはまた、石油や石油製品の輸出、そして銀行取引や輸送といった関連サービスに対する制裁の解除を始める。
項目11:凍結資産
この項目は、交渉の重大な障害となってきた。
イランは長年にわたり、自国の凍結資産の解除を求めてきた。実現すれば、同国にとっては新たな経済的生命線となる。
文書の11番目の項目は、了解覚書への署名後にアメリカが「凍結または制限された資金を完全に利用可能にすることを約束する」とし、その手続きは交渉中に合意されると記している。
米政府高官は17日、記者団に対し、覚書締結後の協議が継続するなかで、イランが高濃縮ウランへの対応を開始するなど合意内容を順守した場合、イランへの報償として一部の資産が解放されると説明した。
項目12~14:監視と最終交渉
文書の最後の数項目は、この合意がどのように展開されるかの実務について記している。
それによると、アメリカとイランは、了解覚書の履行と将来の合意の順守を監視する「仕組み」を設ける。だが、実際にどのようなものになるかは不明確だ。
了解覚書が署名され、履行が始まってから、アメリカとイランは最終合意に向けた交渉を開始する。
文書の最後では、最終合意について、拘束力のある国連安全保障理事会の決議によって承認されると明記してある。











