「死ぬかと思った」 熊本地震の衝撃と恐怖、被災住民らが語る

車道沿いの家屋が地震で倒壊しており、緑色のコーンで封鎖されている。その横を車や自転車が走っている

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画像説明, 地震の影響は各所に出ている(31日、熊本県八代市)
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小林智恵(東京)、ギャヴィン・バトラー

熊本県八代市の「せんだん食堂」の建物が突然大きく揺れたのは、そろそろ閉店という時だった。

調理場の棚にあったものは全て床に落ち、どんぶりやコップは粉々になった。

共同経営者の緒方洋子さん(75)は、ちょうど外から店内に入ったところだった。

「もう驚いたし、怖かったし」と、緒方さんはBBCニュースに話した。

「すぐにテーブルの下に入ったけれど、テーブルが右、左、右、左って大きく動くの。私ごと!」

緒方さんが素早く反応できたのにはわけがある。生まれてからずっと、熊本県中央部の八代市で暮らしてきたことが関係している。

この地域は活断層の上に位置している。そのため地震は珍しくない。2016年には2度の大きな地震に見舞われた。この地震では、全体で277人が死亡、約2800人が負傷した。

しかし、これほど大きな衝撃を受けたことはこれまでなかったと、緒方さんは話す。

「10年前の地震はこんなじゃなかった。死ぬかと思った」

うち7人は、熊本市の南の嘉島町にあるイオンモール熊本で死亡した。

被災地では捜索・救助活動が続いている。高市早苗首相は29日の時点で「時間との勝負」だと述べた。

「大きい揺れが後から後から来た」

イオンモール熊本から数百メートルの距離にある洋菓子店では、地震発生時、ゆいさん(仮名)が奥の事務所で座っていた。

「どれが地震の音なのか、どれが爆発の音なのか、もう全然わからなかった」と、ゆいさんは当時の様子をBBCに話した。

まだショック状態のようなゆいさんはさらに、「ものすごい大きい揺れが後から後から来て、座っていた椅子にしがみついていることしかできなかった」とも語った。

「何を感じていいのかもわからなかった。ああいう状況で怖さすら感じなかった。今でも何を感じるべきなのかわからない。自分の感情を説明することができない」

被災地には、緊急対応にあたる人員が迅速に送り込まれた。高市首相は地震後まもなく、県からの要請に基づいて自衛隊を数千人規模で派遣したと説明。政府の非常災害対策本部の会議で、被害状況の把握と被災者の救命、救助に「夜を徹して取り組んでほしい」と述べた。

地震によって、熊本県内の各地で停電や断水が発生した。また、少なくとも53の医療施設が被害を受けた。

熊本市の中心部にある熊本城では、石垣の一部が土煙を上げながら崩れた。一方、八代市の八代神社では、楼門や建物が崩れるなどの被害が出た。

神社の参道を本殿に向かって写している写真。右側のかわらぶきの建物が大きく崩れているほか、参道の石畳も壊れている。周囲には赤い三角コーンが置かれている

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画像説明, 八代神社では多くの建物が倒壊した(31日、熊本県八代市)

ミカル・ポーゼンさん(25)は、「商店には水も食料も残っていない」とBBCに話した。

2年前から熊本で暮らしているポーゼンさんは、地震発生時は自宅にいたという。

「テレビが私の上に落ちてきて、鏡が割れた。周囲の道路も損傷した」と、ポーゼンさんは当時の状況を説明。「絶え間なく続く余震」の中で、避難用バッグを準備したと述べた。

別の住民は、最初の揺れから数時間がたっても、余震が街を揺らしていたと話した。

「みんなまた地震がくるのではないかと警戒している」とこの男性は言い、「2016年の地震では、数日後に2度目が発生した」と付け加えた。

専門家も懸念を抱いている。気象庁の清本真司・地震津波対策企画官は、今後さらに地震が起きる可能性に「注意してほしい」と国民に呼びかけた。清本企画官も、多数の死者が出た2016年の地震で、1日おいて大きな揺れが発生したことに触れた。

「今後、最初の地震よりも、さらに強い揺れが起きる恐れがある」とも、引き続き警戒するよう清本氏は呼びかけた。

熊本県がある九州には、活断層が網の目のように存在している。その中に、島の中心部を約81キロメートルにわたって走る日奈久断層帯もある。

この断層帯は2016年の地震で一部が動いた。専門家らは以前から、その「割れ残り」が大規模な地震を引き起こす可能性があると警告してきた。

国の地震調査委員会による評価では、この地域の内陸側ではM7.5程度の地震が発生する可能性があるとされている。日奈久断層帯全体が動いた場合、M8に達する可能性があるとされる。

地震で倒壊した家屋の一部が、濁った川に落下している

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画像説明, 川沿いでは、地震によって水没した家屋もある(31日、熊本県八代市)

地質学的にも心理的にも衝撃が続く中、緒方さんやゆいさんら被災地の住民は、どうにか生活を立て直し、何らかの形で日常を取り戻そうとしている。

「もうそこら中めちゃくちゃ。足の踏み場もない。でも生活していくためには一刻も早く店を開けないといけないから、今日は片付けをしている」。緒方さんは29日、そう話した。

「でも、少し片付けると余震が来てやめないといけない。また少し片付けると、また余震でやめないといけない(中略)なので全然片付かない」

「こんなたくさんの余震がずっと続けば、とてもストレスがたまると思う」

ゆいさんの店舗も休業を続け、被害状況の確認を進めている。

「まだオーブンなどの機械がきちんと動くかチェックしていない」とゆいさんは言った。

「チェックして初めて、今後仕事を再開できるのか考えられるようになると思う」