FIFAへの「非協力」姿勢示す、インファンティーノ会長の辞任求める反対派

ダークスーツ姿のインファンティーノ氏が、FIFAの文字がついた演題の後ろに立ち、両手を広げている

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画像説明, FIFAのインファンティーノ会長。就任から10年がたつ
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国際サッカー連盟(FIFA)のジャンニ・インファンティーノ会長(56)が、FIFA主催大会について株式を投資家に売り出す計画を打ち出し強い批判を浴びて撤回した問題で、同会長の辞任を求める声がヨーロッパで高まっている。辞任しなければFIFAに協力しないと、強硬姿勢を示すサッカー協会関係者もいるもようだ。

欧州サッカー連盟(UEFA)の幹部らによると、インファンティーノ会長を非難する人々の間で、会長が辞任しない限り、FIFAに対して「非協力」の姿勢を取ると脅す動きが見られるという。「後戻りはしない」と誓う人もいるとされる。

「非協力」の内容は不明。幹部の一人は、FIFAの会議への参加拒否が「確実に予想される」と述べた。

FIFAとインファンティーノ会長は、ワールドカップ(W杯)などの主要イベントを運営する子会社を設立しようとした。計画では、子会社の株式を外部投資家が購入できるはずだった。

この計画が明らかになると、UEFAは法的措置も辞さない意向を表明。ウェールズ・サッカー協会は、インファンティーノ会長の4期目立候補への支持を撤回した。イングランド・サッカー協会も、それに続くと見込まれている。

インファンティーノ氏は来年3月、会長として最後の任期を目指し、再選に向けて立候補する見通しとなっている。当選には、FIFA加盟211協会の投票で106票が必要となる。

BBCスポーツの取材では、スコットランド・サッカー協会もインファンティーノ氏に関し、UEFAと同じ不信感を抱いているとされる。

同氏のリーダーシップは、すでにヨーロッパ、北米、中米、カリブ海のサッカー統括団体が公に疑問視している。UEFAと北中米カリブ海サッカー連盟(CONCACAF)は、同氏の計画を批判する声明を出している。

セルビア、スウェーデン、フィンランドの各協会もインファンティーノ氏への支持を撤回するなど、同氏に対する圧力は高まっている。

一方で、モロッコ、カタール、レバノン、クウェート、スリランカなどの協会は、インファンティーノ体制の継続を支持している。

会長選では、UEFAは55票、アフリカは54票、アジアは46票、CONCACAFは35票、オセアニアは11票、南米は10票を、それぞれもっている。

アジアサッカー連盟(AFC)は、UEFAおよびCONCACAFとの「連帯」を表明している。他方、アフリカ、南米サッカー連盟(CONMEBOL)、オセアニアはこれまで、インファンティーノ氏の計画を批判していない。

FIFAの理事会が緊急会議を開き、インファンティーノ氏に会長辞任を迫る可能性もある。緊急会議は、理事会メンバー37人のうち19人以上が要請した場合に、2週間以内に開かれることになっている。

理事会メンバーは、UEFAの9人、AFCの7人、CONCACAFの5人、アフリカの6人、CONMEBOLの5人、オセアニアの3人で構成されている。このほか、インファンティーノ氏とマティアス・グラフストロームFIFA事務局長がいる。

リーダー交代願うとUEFA副会長

UEFAのローラ・マカリスター副会長は、FIFAに対して法的措置を取る可能性について、子会社設立と株式売り出しという構想に至るまでの「ひどいガバナンスプロセスを前に、非常にはっきりと対応を要請する動きだ」と、BBCラジオ5ライブのインタビューで述べた。

マカリスター氏はまた、「このような悲惨な事態が二度と起こらないよう、責任の所在を明確にするための仕組みを整える必要がある」と主張。

「サッカー史の一大事」となったこの事態を前に、インファンティーノ氏への支持を撤回する人たちがほかにも続くよう期待するとも話した。

そして、「一方的な計画で騒ぎが起きるたびに、私たちは火消しを続けるわけにはいかない」、「リーダーシップの交代が来年、実現することを心から願っている」とした。

分析:「インファンティーノ氏を孤立させる戦術」

ダン・ローアン・スポーツ編集長

窮地に立つFIFA会長にUEFAが先週、不信任を示した際、各地の協会は次々とUEFAを支持した。そしてそれに続いて今や、会長留任についても支持表明を取り下げる協会が増えており、インファンティーノ会長への圧力は強まっている様子だ。

会長辞任を求める動きは、現時点ではヨーロッパに限られている。だが、これが今後変わる可能性もある。

インファンティーノ会長が在任している限り、各地の協会がFIFAに対して協力せず、法的措置も辞さないという脅しは、より深刻な事態を招く可能性がある。

各協会はこの戦術によって影響力を握り、インファンティーノ氏をいっそう孤立させることを目的としている。

もし彼を辞任に追い込むことに失敗した場合、UEFAとCONCACAFの反会長派は、他の協会を説得し、反乱に加わってもらおうとするだろう。特に重要なのは、今や主戦場だと見られるアジアの各協会の動向だ。

UEFAは、世界の他の協会に指図していると見られないようにする必要があることを、承知している。そして、南米とアフリカでは、インファンティーノ会長が依然としてかなり支持されているのは明らかだ。

世界のサッカー界は、かつてないほど分裂している様子だ。インファンティーノ氏に反対する勢力は、彼が来年の会長選までに辞任しない場合に備えて、統一の対抗候補を見つけ出そうとするだろう。

時系列でみる

・7月27日(月)

FIFAのインファンティーノFIFAが自分のインスタグラム・アカウントに15枚のスライドを投稿。自分を批判する人々に対し、自分のリーダーシップについて「憎悪や虚偽のうわさを広める」のではなく、「瞑想(めいそう)したり、祈ったり、サッカーの試合を観戦したり」するよう呼びかけた。

・7月28日(火)

英紙タイムズとフィナンシャル・タイムズは、インファンティーノ氏がW杯をはじめFIFA主催大会の株式を民間投資家に売却する計画を立てていると報じた。

UEFAは、サッカーは「FIFAが売るべきものではない」とする初の声明を発表し、FIFAが「一線を越えた」と非難した。

FIFAは計画を正式に発表した。

・7月29日(水)

インファンティーノ会長はFIFA加盟211協会すべてに書簡を送り、自分の計画を支持すれば4000万ドルを提供すると伝えた。ただし、最初の2000万ドルを受け取るためには9月19日までに支持を表明する必要があるとした。

UEFAは「FIFAが我々のスポーツを利用して、自分たちや仲間の私腹を肥やし続けることは許されない」と批判した。

・7月30日(木)

UEFA加盟55協会は、インファンティーノ会長の計画が実行された場合、W杯をボイコットすると決議した。

CONCACAFも、加盟41協会が会長案を「拒否した」と発表した。

・7月31日(金)

FIFAは「誰もサッカーを売り渡してなどいない」と反論し、計画を継続すると表明した。

AFCは、UEFAとCONCACAFに「連帯する」と表明したが、インファンティーノ会長の提案を明確に拒否することは避けた。

インファンティーノ会長のコルデイロ上級顧問が、「サッカーにとって悪い取り決めで、サッカーの未来を抵当に入れることになる」と抗議辞任した。

アンディ・バーナム英首相は、インファンティーノ氏はFIFAを率いるのに「不適任者」だと述べた。

FIFAのケヴィン・ラムール最高執行責任者は、FIFAの首脳陣さえこの計画について「だまされていた」と批判した。

・8月1日(土)

インファンティーノ氏はイギリス時間1日午前0時30分ごろに声明を発表し、計画は実行されないとした。