トランプ氏とバーナム氏、初の首脳会談 英首相を「取引できる相手」と評すもチャゴス合意は「ひどい」と米大統領

ダークスーツ姿のバーナム英首相とトランプ米大統領が並んで椅子に座っている。トランプ氏は右手人差し指で前方を指している。バーナム氏は両手を膝の上で組んでいる

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画像説明, バーナム英首相(左)とトランプ米大統領(22日、国連本部)
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アメリカのドナルド・トランプ大統領とイギリスのアンディ・バーナム首相は22日、初めて対面で会談した。トランプ氏は、バーナム氏を取引できる相手だと評価した。一方で、イギリスが昨年合意したインド洋チャゴス諸島の主権のモーリシャスへの移譲については、批判的な考えを示した。

トランプ氏はこの日、米ニューヨークで開かれている国連総会に合わせてバーナム氏と会談した。終了後、バーナム氏が7月に英首相に就任してから、米英関係は「以前より良くなっている」と述べた。

トランプ氏と貿易や移民などの問題について協議したバーナム氏は記者団に対し、トランプ氏とは「良好な関係を築いた」、「今日、その関係をさらに深めた」と語った。

報道陣からチャゴス諸島をめぐる合意は「破綻した」のかと問われると、バーナム氏は、イギリスは各方面との解決策を見いだすために「懸命に取り組む」とし、「アメリカのパートナーと協力すればそれを見いだせると確信している」と述べた。

バーナム氏は記者会見の冒頭、トランプ氏の隣に座りながら、「あなたと私は、これまでの協議で良好な関係を築いてきた。そして今日、その関係をさらに深めた」と述べた。

両首脳はその後、集まった記者団からの質問を受けた。

BBCはトランプ氏に、バーナム氏は取引のできる人物かと尋ねた。これに対しトランプ氏は、「ああ、そう思う。生まれながらのビジネスパーソンだと思う。今回の会談以前から多くの協議を行い、電話でも何度も話してきた」と答えた。

「(バーナム氏は取引できる相手だと)そう思う。彼は自分が何をすべきかを分かっている」

バーナム氏はその後、近年のイギリスは「あまりに大きな混乱」に見舞われてきたが、今こそ国の「物語」を前向きなものへ「転換する」時だとトランプ氏に説明したと明らかにした。

トランプ氏は、イギリスは「強い愛国心」を持つ国だとし、「優れた指導力と成功を待ち望んでいる」と付け加えた。

トランプ氏とキア・スターマー前英首相の関係も当初は良好だった。しかしスターマー氏が、今年2月のアメリカとイスラエルによるイランへの最初の攻撃で、英軍基地の使用を認めなかったことを機に、両者の関係は悪化していった。

チャゴス諸島の主権移譲合意を批判

トランプ氏はこの日、チャゴス諸島の主権移譲をめぐる合意への批判を繰り返した。同諸島のディエゴ・ガルシア島にある米英共同軍事基地については、特にアメリカの対イラン作戦において「戦略的に極めて重要だ」と強調した。

イギリスが昨年結んだ合意では、チャゴス諸島の主権をモーリシャスに移譲する一方、ディエゴ・ガルシア島にある軍事基地を年間1億100万ポンドで借り直すことになっている。しかし今年4月、トランプ氏が支持を撤回したため、同合意は無期限で停止された

トランプ氏は22日、「(バーナム)首相は(この合意を)検討することになると思う」と述べた。

これに対し、バーナム氏は「ええ」と答えた。

その後の記者団とのやり取りの中で、バーナム氏は自分が「この状況を引き継いだ。解決策が必要だ」と語った。

そして、「基地の将来を守ることは極めて重要だ。イギリスにとって安全保障上重要であり、アメリカにとっても明らかに重要なことだ」と付け加えた。

「会談では、各方面との解決策を見いだすために我々が取り組み、その実現に向けて懸命に努力することを伝えた」

バーナム氏はニューヨーク訪問に先立ち、モーリシャスのナヴィンチャンドラ・ラングーラム首相と協議した。

チャゴス諸島をめぐる合意をかねてから批判してきた英野党リフォームUKのナイジェル・ファラージ党首は、「チャゴス諸島に関する合意は破綻した。神に感謝する」とソーシャルメディアに投稿した。

フォークランド諸島についても協議

バーナム氏は、トランプ氏との非公開協議で南大西洋にあるフォークランド諸島についても話し合ったと明らかにした。フォークランド諸島については、アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領が領有権を主張している。トランプ氏は以前、フォークランド諸島に関するアメリカの立場は見直しの対象となっていると述べている。

フォークランド諸島の領有権をめぐっては、イギリスとアルゼンチンの武力紛争から40年以上がたった現在も、争いが続いている。

トランプ氏は今月3日、GBニュースのインタビューで、領土紛争が発生した場合にアメリカが「イギリスを支援する」かどうかを問われた際、イランとの戦争においてイギリスは「私を助けてくれなかった」と答えた。

トランプ氏はまた、イギリスが防衛費を増額しなければ、フォークランド諸島に関するアメリカの中立的な立場を見直す可能性があるとも述べている。

一方、アルゼンチンのミレイ大統領は3日、フォークランド諸島の周辺で石油採掘を行う企業に経済制裁を科すと警告し、イギリスとの緊張が高まった。

ミレイ氏はこの時の国民向け演説で、「フォークランド諸島は我々の未来だ。国家にとって重要なこの諸島を取り戻す必要がある。ほかに進むべき道はない」と語った。

バーナム氏は報道陣に対し、「我々はいかなる脅しにも断固として立ち向かう。フォークランド諸島の住民の自決権と、(同諸島が)英領であり続ける権利を守る」と述べた。

「これがイギリスの明確な立場だと、私から米大統領に直接伝えたかった。大統領は、私の発言を十分に理解していた」

AIめぐる立場に隔たり

バーナム氏が今回の米訪問で特に重視している分野の一つが、人工知能(AI)だ。

22日には、米アップルのティム・クック会長らビジネスリーダーたちと協議した。

バーナム氏はAIについて、「リスクを防ぎながら潜在能力を最大限に引き出すことを目的とした、世界共通の原則と基準」を設けたいとの考えを伝えた。

ただ、バーナム氏のアプローチは、トランプ氏との摩擦を引き起こす可能性がある。トランプ氏は国連総会での演説で、AIを管理するための「グローバリスト的な枠組みを構築しようとする、いかなる試みも全面的に拒否する」と述べた。

トランプ氏はAIを「スーパーインテリジェンス(超知能)」と呼び、アメリカは「それを抑制するのではなく、推進する」と述べた。

バーナム氏はその後、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長と会談した。トランプ氏との2国間協議が予定より長引き、約10分遅れて到着したことをバーナム氏は謝罪した。

これに、「そういうことは理解できる」と委員長は応じた。