スペインの飛び地セウタにモロッコから移民押し寄せ 5万人近くと当局
北アフリカにあるスペインの飛び地領土セウタに30日、多くの移民が押し寄せた事態を受け、スペインは治安強化のため部隊を派遣した。スペイン当局によると、24時間の間にモロッコからセウタに入った移民は推計約4万9000人に上る。モロッコ北端のセウタを海から目指したうち、ここ数日で少なくとも18人が溺死したという。この事態はスペインとイタリアの外交関係悪化にもつながっている。
セウタの人口は最新統計で約8万3600人。スペイン当局による、セウタに入った移民の推計4万9000人はその半数以上にあたるため、現地の人口が一気に1.5倍以上に増えたことになる。
スペイン当局によると、24時間の間にスペイン領に違法に入った人のうち少なくとも7000人は未成年という。
スペイン軍はセウタと、北アフリカにある別の飛び地メリリャの治安維持を強化するため、部隊を派遣した。二つの飛び地では30日の夜にかけて、移民の流入が300~400件にわたり繰り返されたという。
スペイン内務省は、スペイン領に違法に入った全員が「できるだけ早く」モロッコに戻るよう、モロッコ当局と協力していると述べた。
スペインのペドロ・サンチェス首相は31日に同地域を訪問する予定で、事態を直ちに正常に戻すと約束している。
2カ所のスペイン領で緊張が高まる中、30日夜遅くには衝突があったとの未確認情報が流れた。
ロイター通信は目撃者の話として、セウタ国境に近いモロッコの町フニデクでは、モロッコ当局が移民の越境を阻止しようと放水銃を使用したと伝えた。
地元メディアや人権団体が公表した映像には、別の飛び地メリリャでの、ベニ・アンサール国境地点での衝突の様子が映っていた。

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セウタとメリリャは、EUとアフリカ大陸を結ぶ唯一の陸続きの国境。モロッコの北海岸に位置するセウタは、ジブラルタル海峡によってスペイン本土と隔てられている。長年にわたり、ヨーロッパを目指す移民が集まる場所となっていた。

スペイン当局は近年、監視強化、障壁の強化、モロッコとの二国間関係の改善などを通じて、飛び地周辺の警備を強化してきたが、越境しようとする移民の流入が続いている。
スペイン最高裁判所は7月、セウタおよびもう一つのスペインの飛び地メリリャを目指して海上で足止めされた移民を、モロッコへ強制送還することは認められないとの判決を下していた。
スペイン内務省は、人身売買組織がこれを悪用し「不法移民の流入を助長している」と非難。「セウタ市の治安維持に必要な権限を行使するため、軍は治安警備隊を支援するなど、必要な措置を講じる」と述べた。
海から上陸
セウタを目指す移民の数は、ここ数日、増え続けていた。30日には数千人がコンクリートの堤防を滑り降りて海に入り、国境を示す桟橋の周りを泳いで回った。
スペイン側の海岸はたちまち、ゴム製の浮き輪やフィンでいっぱいになった。一部の移民が到着を祝う一方で、10人以上が溺死した。
なぜモロッコからの不法越境が一気に増えたのか、そしてモロッコ当局がそれを阻止するためどれほど取り組んだのかは、まだ明らかになっていない。スペイン当局者は一時、国境管理が完全に崩壊したと述べていた。
現地の移民受け入れセンターはひっ迫している。地元当局は、中央政府の対応が遅すぎると非難している。
セウタでは2021年5月にも数日のうちに約8000人が押し寄せ、スペインとモロッコとの関係が緊張した。

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イタリアとの関係悪化
この事態は、スペインとイタリアとの政治的な対立も引き起こしている。イタリアのジョルジャ・メローニ首相はソーシャルメディア「X」スペイン相手にシェンゲン協定を一時停止する「異例の措置」を検討していると明らかにした。シェンゲン協定は、欧州連合(EU)加盟国を中心とする29カ国の間で、原則的に出入国審査なしに各国間を自由に行き来できるとする取り決め。
首相は、セウタで撮影されている画像は「衝撃的」なもので、「無制御な不法移民の流入は、ヨーロッパの国境の安全に対する明確な脅威」だと示しているとXに書いた。
イタリアのアントニオ・タヤーニ外相もこれに先立ち、同様の発言をしていた。
これに対してスペインのホセ・ルイス・アルバレス外相は、タヤーニ氏が政治目的のために移民問題を利用していると非難した。
アルバレス外相は、イタリア外相による発言について、スペインと友好関係にある協力国は「政治的な扇動ではなく欧州の連帯を示すべき」だと批判した。















