米FRBが3年以上ぶりに利上げ、インフレ率の高止まりに警鐘

スーツ姿の男性の肩から上の写真。演壇で記者会見を開いている。背景にはアメリカ国旗が置いてある

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画像説明, FRBのケヴィン・ウォーシュ議長(16日)
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マイケル・レイス・ビジネス記者(米首都ワシントン)

米連邦準備制度理事会(FRB)は16日、政策金利を0.25ポイント引き上げ、3.75~4%にすると発表した。利上げは3年以上ぶりで、物価上昇を抑制するため、さらに引き上げられる可能性もある。

ドナルド・トランプ大統領が利下げを求めていたが、FRBは全会一致で利上げを決めた。

ケヴィン・ウォーシュ議長は今回の措置について、「インフレ率が高すぎ、しかも長期間にわたって高止まりしているため」だと説明。これは「冷静かつ責任ある決定」だと述べた。

利上げの発表後、トランプ大統領はウォーシュ議長を支持するとしつつ、金利決定の投票権を持つ理事会が「敵対的」だと批判した。

金利の上昇は、ローンや住宅ローン、クレジットカードなどを利用したい人にとっては借り入れコストを高くするが、預金の利率を高める可能性もある。

ウォーシュ議長は16日の記者会見で、FRB幹部の間には「楽観的な姿勢」があるものの、インフレは依然として問題だと述べた。

他の多くの国の中央銀行と同様、FRBはインフレ率を2%以下に抑えることを目標としている。ウォーシュ氏は、アメリカのインフレ率が「5年以上」この目標を上回っていると指摘した。

高いインフレ率も要因となり、アメリカでは生活必需品の価格が手ごろかどうかが、有権者にとって最も重要な心配ごとのひとつになっている。米・イスラエルとイランの戦争開始以来、原油卸売価格の高騰を受けて燃料価格が急騰し、他の多くの商品やサービスの値上げにもつながっている。

ウォーシュ議長は、FRBは「原油価格だろうと、食料品店で売られている食料品だろうと、個々の価格に影響を与えることはできない」と述べたうえで、価格上昇が経済全体に広がるのを防ぐ取り組みはできると付け加えた。

議長はさらに、雇用市場と経済全体の好調さから、FRBは引き続き物価の安定に注力していると説明。インフレ低下の恩恵を最も受けるのは、最も貧しい人々だと付け加えた。

中央銀行は、インフレ率が高い時に支出を抑制し貯蓄を促すことで物価上昇のペースを鈍化させることを期待し、金利を引き上げる傾向がある。しかし、利上げは企業の投資控えを助長したり、経済成長を阻害したりする可能性もあるため、バランスが肝心だ。

利上げはアメリカ国民にどう影響するか

ウォーシュ氏がFRB議長に承認された際、アメリカの与党・民主党の議員らは、同氏がトランプ大統領の「操り人形」になるとみていた。多くのFRBウォッチャーも、ウォーシュ氏がトランプ氏の度重なる利下げ要求を実行すると予想していた。トランプ氏は、利下げを行わなかったジェローム・パウエル前議長を厳しく批判していた。

16日の記者会見で、今回の利上げがトランプ大統領にどのようなメッセージを送ったのかと問われたウォーシュ氏は、苦笑いを浮かべながら「大統領との話し合いについては、伝えられることは何もない」と答えた。

その後、トランプ氏は記者団に、「私はケヴィン(・ウォーシュ)を頼りにしている。でも、知っての通り、彼の理事会はとても厳しい」と話した。

「それに金利は高すぎる。適切じゃない(中略)私はケヴィンと話をして、『君も理事会と同じように投票した方がいい、どうせ影響しない』と言った。理事会はとても敵対的だ。とても政治的だ」とも、トランプ氏は述べた。

これに先立ちトランプ氏は、ソーシャルメディアに「アメリカ合衆国の金利を下げろ、すぐにだ!」と書いていた(太文字は原文ですべて大文字)。

連邦議会の民主党議員たちは、利上げによって借り入れコストが上昇することで、借金を抱える国民が増えると批判した。

民主党のチャック・シューマー上院院内総務は、「これで、全ての値段が高くなる」、「これはドナルド・トランプが経済運営の仕方を知らないからだ」と述べた。

今回の利上げは、2025年12月の利下げ以来、あらゆる方向への初めての金利引き上げとなる。前回利上げが行われたのは2023年7月だった。

この金利上昇は、住宅購入者の住宅ローン金利を押し上げ、他の債務に対しても、アメリカ人がより多くの支払いを強いられることにつながる可能性がある。

JPモルガン・チ​ェース、バンク・オブ・アメリカ、シティグ​ループといった米大手行は16日、プライムレート(優遇貸出金利)を6.75%から7%に引き上げると発表した。これはクレジットカードや個人ローンの金利に影響を与えることになる。

住宅ローン金利はここ1年で上昇しているが、2023年に記録したピーク時を下回っている。米連邦住宅抵当貸付公社(フレディ・マック)のデータによると、30年固定金利の平均は6.76%、15年固定金利の平均は6.09%となっている。

アメリカの多くの住宅所有者は、30年または15年の固定金利ローンを組んでおり、金利変動は月々の返済額には影響しない。しかし、金利上昇は新規住宅ローンの借り換えや、借り換えを検討している人々に影響を与える可能性がある。

ウォーシュ氏はFRB金利の見通しについて自身の見解を述べることを拒否したが、他の政策金利担当者の多くは、年内に金利が再び引き上げられ、4~4.25%になると考えていると述べた。

また、わずかながら過半数の理事が、金利は来年さらに4.25~4.5%まで上昇する可能性があり、その後2028年と2029年に利下げが始まる可能性があると述べた。

この予測では、今後数年間で物価上昇は緩和され、インフレ率は2029年までにFRBが目標とする2%まで着実に低下する見通しだ。

イランとの戦争以来、インフレ率の上昇に直面しているのはFRBだけではない。欧州中央銀行(ECB)は先週利上げを実施し、英中銀イングランド銀行も17日に利上げを発表する予定だ。