イギリスが16歳未満のSNS禁止措置を導入へ、来春にも施行したいと首相

若者2人が、1人が持っているスマートフォンをのぞき込んでいる。スマートフォンを持っている人物は緑色のフーディーを、もう一人の人物は赤い上着を着ている。背景はカフェのような室内。

画像提供, Getty Images

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イムラン・ラフマン=ジョーンズ記者、リヴ・マクマホン記者、グレアム・フレイザー・テクノロジー記者

イギリス政府は15日、16歳未満を対象に複数のソーシャルメディア・プラットフォームへのアクセスを禁止すると発表した。これにより、数百万人の子どもがソーシャルメディアの利用を断念せざるを得なくなる見通しだ。

キア・スターマー首相は、TikTok、スナップチャット、インスタグラムなどのアプリが利用できなくなると述べた。また、「クリスマス前までに規制を成立させたい」とし、2027年春にも施行される見通しだと述べた。

これに対し、米メタ、スナップチャット、ユーチューブといったテック企業は、一律の禁止措置によって、子どもがより安全性の低いインターネット環境に向かう恐れがあると警告した。

スターマー首相は、「子どもたちの安全と幸福について妥協するつもりはない。それが、この禁止措置が必要であり、実施される理由だ」と述べた。

政府は、対象となるプラットフォームの完全な一覧をまだ公表していないものの、ユーチューブ、フェイスブック、Xも含まれるとしている。

また、16歳以上のユーザーについてはソーシャルメディアの利用を継続するにあたり、年齢確認が求められる可能性があるとした。

一方、多くの成人については、アカウントが16年以上前に作成されている、クレジットカードがひも付けられている、あるいはメールアドレスが他の方法で既に認証されているなどの理由から、確認手続きは不要になる見通しだと説明した。

ワッツアップやシグナルなどのメッセージングアプリや、オンラインゲームプラットフォーム「Roblox」は、禁止の対象外となる。

ただし、ライブ配信や見知らぬ人が子どもに連絡できる機能など、一部の機能は16歳未満に対して制限される。

YouTube Kidsは禁止措置の対象外となる。

政府はさらに、16歳と17歳を対象に、無限スクロールやスクリーンタイムを制限する措置を検討するとしている。

人工知能(AI)との親密な会話や性的なやり取りも、18歳未満に対して禁止される。

ソーシャルメディアの禁止措置は、若者にとってより安全なオンライン環境を求める活動家からの圧力の高まりを受けたもの。また、各国政府がSNSにアクセスできる対象を制限する国際的な潮流の一環でもある。

「スマートフォン・フリー・チャイルドフッド(スマートフォンのない子供時代)」の共同創設者であるジョー・ライリー氏は、「このソーシャルメディア禁止措置は、一夜にしてすべての問題を解決するものではないが、大きな前進だ」と述べた。

「これにより、数百万人の子どもが、自分たちの福祉が考慮されていなかったオンライン環境に入る前に、あと数年間、成長する時間を得られる」

ソーシャルメディアの影響で自分たちの子どもが死亡したと主張する家族らからも、禁止措置の発表におおむね歓迎の声が上がった。

エスター・ゲイ氏はBBC番組「ブレックファスト」で、「発表をとてもうれしく思う」と語った。

ゲイ氏の娘ブリアナさんは、2023年に2人の10代によって殺害された。加害者の1人は、殺人や拷問の動画を含む、インターネット上にある「ダークなコンテンツ」に関心を持つようになったと述べていた。

ゲイ氏は、この禁止措置は「非常に多くの子どもの命を救う可能性がある」とする一方で、SNSにアクセスできなくなる子どもたちへの支援体制も必要だと付け加えた。

スナップチャットは、オンラインの安全性という目標を共有しているとしつつも、全面的な禁止措置には同意しないとした。

メタは、禁止措置が「若者をオンライン・コミュニティーや情報から孤立させ、規制されていない代替手段へと追いやる危険がある」と述べた。

ユーチューブは、若者に対する多くの保護措置をすでに導入しているとし、自社プラットフォームは「若者や教育者、保護者にとって不可欠な資源だ」位置付けた。

同社は声明で、「一律の禁止措置は、子どもたちを厳選・管理された有益な体験から遠ざけ、匿名でより安全性の低いサービスへと押しやる」と述べた。

TikTokは、「政府の措置の詳細を精査し、この重要な問題について政府と建設的に協力することを期待している」と述べた。

BBCはXにコメントを求めている。

多くの保護者がSNS禁止を支持、企業の責任を問う声も

イギリス政府は今年3月以降、アプリの利用時間制限や年齢確認の強化を含む措置が、オンラインの安全性を改善するかどうかについて、保護者や子どもに意見を求めるとともに、国内の家庭を対象とした実証試験を実施この諮問は5月に終了した。

この協議には11万6000件以上の回答が寄せられた。回答した保護者のうち約90%が、16歳未満のSNS利用禁止を支持し、83%以上が、SNSを利用する利益よりもリスクが上回っていると回答した。

リズ・ケンドール技術相は15日の英下院審議で、一連の措置は「子どもの安全を確保するために無数の機会があったにもかかわらず、それを果たしてこなかったテック大手から権限を奪うものだ」と述べた。

また、ソーシャルメディアに関しては子どもだけでなく大人についても、まだ多くの課題が残っていると認識していると述べ、「本日の発表は『一度で完結するもの』でも、物語の終わりでもない」と述べた。

さらに、この禁止措置は「現在の若者だけでなく、将来の世代を支援し、将来の社会規範を再設定することにもなる」と述べた。

英政府は禁止対象を決めるにあたり、オーストラリアのソーシャルメディア企業の定義を採用するとしている。

インターネットの安全性に関する慈善団体「モリー・ローズ財団」が今年4月に実施した調査によると、禁止前に制限対象プラットフォームにアカウントを持っていた12~15歳のうち61%が、引き続き一つ以上のアカウントにアクセスできていた。

同財団は全面的な禁止措置に反対しており、代わりに既存のオンライン安全法の厳格な執行を求めている。

ウェールズで子どもの抱える問題に取り組み、政策提言を行う「ウェールズ子どもコミッショナー」のロシオ・シフエンテス氏は、この禁止措置は「問題を単純化しすぎている」と述べ、安全な利用環境を整える責任はプラットフォーム側にあるべきだったと指摘した。

スコットランド子供コミッショナーのニコラ・キリアン氏は、この禁止措置は「子どもの権利を守るための比例的で効果的で、かつ執行可能な方法ではない」と述べた。北アイルランドの同コミッショナー、クリス・クイン氏は、この禁止措置は「テクノロジー企業の責任を免れさせる恐れがある」と述べた。

一方、イングランド子どもコミッショナーのデイム・レイチェル・デ・スーザは、この措置を「前向きだ」と評価し、18歳までのすべての子どもに拡大されるべきだと述べた。

アメリカでも注目

イギリスでの禁止措置は、大半のSNS企業が拠点を置くアメリカでも、若者支援団体や弁護士らによって注視されている。

米カリフォルニア州では今年3月、子どものころにソーシャルメディアに依存するようになったとして、米メタおよびユーチューブに損害賠償を求めた女性が勝訴した。この女性の弁護士を務めたマーク・ラニアー氏は、「効果的に自律的な規制を行うという点で、企業を信頼できないことは分かっている」と指摘。イギリスの禁止措置は「正しい方向への一歩だ」と付け加えた。

トランプ米政権は、今回の英政府の発表に反応していないが、米国務省は先に、イギリスの協議に貢献する機会を歓迎するとし、インターネット上での未成年保護はは「最優先事項だ」と述べていた。

米政府は全面的な禁止ではなく、「健全な選択肢」と呼ぶ施策を支持している。これは、アルゴリズムによる表示の代わりに、時系列順のフィード表示や利用時間の制限といった方策をプラットフォームに促すもの。

また、アメリカのイギリス大使館は今月5日付の声明で、「アメリカ企業に不均衡な順守負担を課す規制や、類似サービスではなく特定の一つのプラットフォームにのみ適用される規制について懸念を抱いている」と述べていた。